さらば、ヒャッハー
正しくは、吹こうとしていたか。河童のくちばしでは人間みたく綺麗な音色など出ないというのに、耳がバカになっているのか、相変わらず子河童は「ぷっぷしゅ」と下手以前に問題ある口笛を止めなかった。
どのタイミングで止めるか判断できない。一分ほどして、業を煮やした冬月が蜘蛛切りを抜刀しようとしたが――ふいに、草の匂いが強くなった。
「呼んだ、くれ」
「は?呼んだって……」
「くれ、変なしゃべり方のクソ人間」
「もう斬るっ、絶対斬るっ!兄さん、どいてっ。そいつ殺せない!」
また同じように冬月を止める秋月だが、この制止は子河童を助けるためでなく、警戒を兼ねろとした歯止めだ。
草を湯だった匂いが、じくじくと鼻孔を通る。