さらば、ヒャッハー
それでも小さい方。だというのに、この地響きすら感じよう重圧感は何事か。
柄がない槌の体に、口だけが備わった恐ろしい妖怪だとは秋月たちとて知識にある。
元は神様、奥歯を噛み締めて、刀の柄を握る。
見えてきた一部、唇がない歯茎が剥き出しの鋭利に生え揃った歯が、川辺にまでやってきて。
「ハアアアィ、河童ちゅうわああんっ!のづっち来たわよおおん!」
「「ちょっと待てやっ!」」
間髪入れずに、シンクロツッコミをかます双子であった。
ああ、気持ちは分かる。全貌が明らかになった野槌は、かなりの異形。あちらがイモムシでこちらがアリのような錯覚さえ覚えるほど。縦と横の長さの違いが極端と思える比率まで合っていて、目測で言えば、縦5mの横10mほど。長い幅の真ん中に、口裂け女顔負けの、くじらすらも丸かじりできよう獣の口があるのに。