さらば、ヒャッハー
何かされると思えど、ただ野槌はこちらを覗き込むように――目などないのに、見ているようで一滴の汗が秋月の背中に伝う。
冬月はと言えば、巨大な口が迫ってきたと抜刀寸前。一歩踏み込むあたりで――
「んん?あんた、ついこの前、鬼退治した人間じゃないかしらん?」
野槌の興味はそちらかと秋月の肩から力が抜けた。
「そうどすえ」
「やっぱりいぃ、んもう、そうなら言いなさいよぉ。あの鬼、勝手にこの山に入ってきたと思ったら好き勝手。しまいには、のづっちに付きまとうのよぉ。
もー、俺様なんか興味ないっていうの!強引な奴ならいいけど、俺様ダメっ、絶対!てきとーにあしらっていたんだけど、この前、夜這いしてきたのよー。のづっち困っちゃああうっ」