さらば、ヒャッハー


やるしかないか、と互いに頷く。奇襲はもう叶わないが、冬月は蜘蛛切りを抜き、秋月は童子切安綱の柄を握り、右前足を一歩出す。


「しかもよっ、あんの骨っ。油性ペンで『溝出様、参上。夜ロ死苦』とか書いてんのよおぉっ。『露』が書けないからカタカナで書くなんて最悪だわっ、恥ずかしいっ、極太の方で書くもんだから、もーツバつけても落ちやしないし――って」


書いて書いてといたずら書きにご立腹なのづっちが、物言わぬ双子に気づくが――遅い。


間近にいた秋月、まだ刀を抜いていないと思いきや。


――事は刹那。


鞘から滑り出た刀は、もはや神業。


目にも止まらなぬ速さを体現せし、銀の一閃が野槌の体に傷をつくった。


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