さらば、ヒャッハー
蜂のように刺すとはよく言ったものだ。暴れる野槌と絶妙な距離とタイミングを持って、冬月が刺突を繰り返す。
虫のハチもそうだが、こうも連続の刺突となれば、鳥のついばみに近い。
割れない水風船でも刺しているみたいだ。裂けた箇所から、水柱が噴出する。緑の氾濫だ。
秋月とて負けじと同じことをした。左右対称とまではいかないものの、だいたいは同じ箇所。なんてことはない、秋月たちから見て、ただ単に“そこが打ちやすそうだ”と思った程度のこと。
手も足も出ないだなんて、胴体しかない野槌に言うべきことでもないが、やられ放題。痛みによるパニック故の無抵抗にしても、時間経過により逆に痛みが頭に冷水を与えていた。
ピタピタと徐々に落ちる冷水によって、野槌がハッと抵抗の文字を思い出したのは、その実、あまりかからなかった。