さらば、ヒャッハー
「いい加減にしろやあぁぁっ!」
素の怒りは野太い。おねえの本気らしくただのおっさんと化した野槌は、体をぶるっと揺さぶった。
水を被った犬らしい揺さぶりに攻撃力などなく、裂傷から出る血液を辺りにぶちまける。秋月たちとてその血を被るが、野槌がおっさん化した時には既に避難済み。被った血など微々たるものでも。
「っ――」
浴びたものは、呼吸気管を塞ぐ。
鼻から口、喉までまとわりつく粉。野槌の体から舞った黄色の粉は辺りに充満し、霧のように漂った。
無理にならば呼吸はできる。ただし一度息を吸えば。
「は……、くちゅんっ」
むずむずした。
鼻腔や食道の内部をダニがかさかさ蠢いているような痒さ。玉ねぎの汁を目に直接垂らしたような痛み。