さらば、ヒャッハー


「くちゅんっ、はっ、くちゅんっ」


一番の問題は、生理的現象ながらも故意を感じる体のアレルギー反応。


いわゆる、くしゃみをしたのは冬月。随分と可愛いななど不謹慎なことを言えないほどに、冬月は目をこすり、鼻をすする。


「冬月……!」


苦しそうな冬月に近づき、寄り添う秋月とて、目の痒さはあったが冬月ほどではない。


これは狐面が幸を奏した。まさか顔を防護する狐面がこんな時まで役に立つとは。面で顔を覆っていなかった冬月は浴びたのだ、そう――スギ花粉を。


テレビで一度は見たことがあろう。ざわざわと動く杉から飛翔する花粉を。


たかが花粉と侮るなかれ、春が近づけば花粉情報なんてものが出るほどだ。人間にとっては正に天敵、飛翔する花粉に目眩さえ覚える恐怖を持つ経験者もいるほど、花粉症によって涙を流すものは少なくない。心情的なものと症状的なものをかけて。


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