さらば、ヒャッハー


黄砂にも思えた箇所に、道が出来た。


土の上ではなく、宙の道。人工的でないにしろ作為的な道は、ただ花粉の霧に破れ目ができた結果。


藤馬の扇が正に“切り開いた道”は、広がり、やがては黄色の景色を橙色へ――もとの夕暮れの景色に変えていた。


何もかも一瞬な、加えて。


「……、え」


その一部始終が見られなかった冬月に至っても、今ではきちんと見えた。


涙で溺れた眼球の名残から、まだ視界はぼやけているにせよ、痒みや痛みが消えている。


何があったか理解しようにもできないが、恐らくは事の原因たる当事者を冬月が初めて目にしたのはこの時。


秋月の場合は、藤馬のいきなりの登場とぽっくり下駄により10cmほど高い身長で目を奪われていたが、冬月の場合は、それともう一人――藤馬の後ろに控えるような黒ずくめの少年を見た。


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