さらば、ヒャッハー


影踏み鬼という遊びを思い出した。鬼ごっこの派生で、鬼ごっこの場合は体に触って捕まえたに対し、影踏み鬼とは逃げるものの影を踏んでそこで捕まえたとなる。


藤馬のしていることもそんな遊び、『影を捕まえた』と言いたげな。


「日も落ちるし、“影踏み”もできねえな。まあ、時間的にはちょうどいいか。落日(入り日)と一緒に、あっちに沈めや」


にんまりと、怖気たつような笑みを持って、藤馬が扇を――


「白之彼岸」


その束を開いてみせた。


十三夜ほどに綺麗に広がる骨組み、黒の和紙が貼られた古風としての良さもさることながら、その模様に見入る。


彼岸花、一輪の彼岸花が黒の中で咲き誇っていた。


これが赤なら、よもやここまで見入ることもなかっただろう。黒に赤では神秘的でありながらも不安を煽るが、藤馬の扇は清らかさを煽る。


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