さらば、ヒャッハー
『それがやりたかった』とそんな理由で、しかして男にとっては決定的な行動理由であり――ただ男はそれができただけの話だ。
「帰郷せたり、伊弉諾尊之御子。還御したり伊弉冉尊之御子。掛けまくも畏き鹿屋野比売神之――」
高らかな是非を言わさぬ声に呼応したのは白彼岸花。これが役目で、これで終わりだと花弁が弾けた。紙吹雪に相違ない白の千千が野槌の周りを、喝采し、歓迎し、嬉々するように踊り狂って――幕となる。
「いざ帰り座し坐せ神の御国に――!」
終わるという意味での、隠すという意味での幕閉じ。
むせかえるほどあった彼岸花のどれもがなくなり、白の花弁幕に包まれた野槌は、瞬きするよりも早くいなくなった。
どんな劇的も終わればそれまで、あの美しさへの感動も、元の橙色の山の風景になれば、幻だったのかと思いもし、それによって眼球に焼き付けた神秘をより美化してしまう。