さらば、ヒャッハー


藤馬のそんな残酷さを知ろうにも、渉には何もできなかった。


もう決まったことだし、もう――諦めたんだ。


「それでも、僕は何も……」


思うことはないと、繋げようとした。


諦めたこと、達観した死を、客観した恐怖を引き戻すことなんかないし、今更何を思えと言うのか。


――僕は周りを作っていない。作っていないだけで、近づいてくるだけなんだ。


それだけのこと、なのに。


「どーんっ!」


「んがっ」


阿行がはね上がる。

単に頭を上げただけでも、その上には藤馬の顎。地味に痛いし、喋ろうとした口が無理矢理に閉じられ舌を噛む二重コンボ。涙目になっているかは知らないが、俯いて苦悶しているようだった。


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