さらば、ヒャッハー
普通ならしない。ならば、普通じゃないのか。
同じ人間でも“気が狂っている”というのもあるんだ。あの人もそれ類いかと、秋月は軽蔑はしないものの、どこか哀れむ気持ちを持つ。
風邪を引きますえ、と労りの言葉を投げかけたいも、こちらは労りでもあちらにはどう捉えられるかが分からない。
何を考えているか図れない以上、何をしても不思議じゃないんだ。
下手に声をかけない方がいいかと秋月は押し黙り、冬月も同じようにした。
黒い人とすれ違いそうになる。
「……め……め、……な……の……」
声が聞こえたのはその時か。思わずびくっと肩が強張るも、こちらを見ていない――顔も見えない人の独り言だと力を抜く。