さらば、ヒャッハー
冬月の心配の声に一つ返事しながら、秋月が面を直す。狭くなった視界、渉は家屋の脇へと向かっていた。
参道の終点たる家屋の入り口ではなく、わざわざ参道から外れた――言うなれば、勝手口みたいな玄関に通された。
「ただいま帰りました」
おかえりの声はない。たが、明かりはついているらしく、痩けた木の内装が夜目でなくとも分かった。
「お邪魔しますえ」
「おばんどすぅ」
渉に続き、礼儀正しく秋月たちが玄関に入る。挨拶したところで何も返ってこない。そういえば、渉は一人暮らしと言っていたはずなのに、なんで、“誰もいないはずの奥”に声をかけたのだろうか。
秋月たちはついつられて挨拶はしたものの、無駄なことをしたなと思う最中――別の反応があった。