さらば、ヒャッハー
「ふーん。ペット妖怪だなんて流行りそうじゃね?どーでもいいけど。ああ、俺は藤馬(とうま)な。トーマでいいぜぇ。どこかのわたるんみたく、わざわざ『う』まで発音しなくていいからよぅ。どうせ、適当な名前なんだし」
「藤馬さん、そろそろ何の祟りか教えてもらっていいですか」
「え、わたるん、ここで言う?」
喧嘩売っているような名前呼びをする辺り、渉にとっては気さくな間柄なのだろう。それを「ひでー」と流せる藤馬とて、渉とは気心しれた仲か。
そいつが言うなら話してやってもいいと、何とも仰々しい態度で藤馬は指で溝出の額を拭った。
埃あるわよっ、と姑らしい指先にしても、今の溝出は壊れてはいるが、汚れはない。その指に何もついていないはずが、藤馬はしげしげ見た後に、前ぶれなく舌で舐めずった。