さらば、ヒャッハー


溝出を触った指を舐めたというよりは、物々しい舌使いの方が鳥肌立った。


何を吟味しているのか、唾液で指がテカるだけというのに。


「お腹壊しても知りませんよ……」


「どっかの国じゃ、芋虫食ってんだからこんぐらい平気だって。取れたてピチピチだしよぅ」


ドン引き渉は秋月たちとは違った見方をしていた。


溝出を取り巻く祟りを紫の虫と例えていたに相応しく、藤馬がしていることは虫壷に指を入れて、ついたウジ虫どもをべっこう飴のように舐めずる行為。


虫が見えない秋月たちよりも渉はあからさまに軽蔑していたが、他人など知らぬ存ぜぬな藤馬は続けた。


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