さらば、ヒャッハー


強気で勝ち気。
物静かな渉にしては、やけに口が出ることだ。


ただ、相手を選ばないのは――畏怖すべき存在に、真っ向から対立するのは無謀。


「調子ぶっこいてんじゃねえぞ、ああ?」


噛みつきはしないものの、藪の蛇は頭をあげる。


目という表情の一部が隠されているにしろ、殺気が空気を重くした。


緊迫の文字が立ち込める。鎌首をもたげたような手首に、手には帯に納めてあっただろう扇が束のまま渉に向けられていた。


顔から斜め下。対象者の心臓を抉るような直線は、まだ肉を抉らないものの、何かしらの弾みで行ってしまいそうだ。


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