さらば、ヒャッハー


冬月の行いに、一番に焦ったのは渉だった。「やめてください」と柄にもなく早口に言ってしまったのは、それこそ冬月の身を案じてだ。


――僕はいい。ただ、僕の周りは駄目だ。


「冬月君……!」


「やめるんや、冬月っ」


渉の切羽詰まった全貌が冬月に向けられていると知った秋月が、蜘蛛切りを抜こうとする右手を掴んでまで止めようとしたが――遅かった。


「……、え」


最初、理解などできなかった。


抜いた瞬間に、パンッと音がし、その後に目下で血まみれが乱舞した。


正気の沙汰ではない、弾けて飛び散ったのは冬月の右手。


腕が爆弾にでもなったか、もしくは風船か。どのみち、破裂した右腕はもう何も残しやしない。


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