さらば、ヒャッハー


藤馬の想定呪術は、そんな心理の弱みにつけこむ。


断っておくが、冬月が精神的に弱いわけではない。右腕が飛ばされることを見て、尚も藤馬に歯向かうのがいい証拠だ。


冬月の精神は頑強にしても、たった1パーセントの想定(思い込み)を藤馬は手に取れる。


「まあ、例えばだ。――ほれ、てめえらの後ろ」


指差す藤馬に釣られて秋月が振り向くが何もない。襖があり、その奥までも透視できないが。


「襖は開けるなよ。てめえらを殺す怖いモノがいっから」


繋げられた言葉は嘘だと思う一方で、何故か心臓のリズムが外れた気がした。


何もいない。いるわけがない。なのに、どうしてか、ああ、どうして、心臓が早まるのか。


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