甘い満月~Sweet Full Moon~
あ、そうだ!橋に確かベンチがあったハズ!!

「ねぇ芯くん、良泉橋行ってちょっと酔い覚まそうよ??」

「リカちゃん連れてって~」

と甘えた声で私に抱きついてくる。

周りの大人の視線が痛い。さすがに、高校生が酔っ払っている光景は
どんな事をしても、良いはずはない・・・

私は芯くんを抱える様にしてやっとの事で良泉橋に着いた。

ここは車も通るが歩道もついていて、ちょうど橋の真ん中辺りにベンチがある。

3つあるベンチのうち、一番奥にはすでにカップルが陣取っており、私と芯くんは
一番手前に座った。

「芯くん大丈夫??」

と聞くと、

「好き」

と芯くんは言った。

小さな声だったけど、

ハッキリと私の耳には届いた。

車の音で聞こえなかった振りをして、

「もぉこんなに酔って~。本当に弱かったんだね!ごめんね!」

「好き。」

私の言葉を無視して今度は私の方を向いて、
まっすぐの瞳で言われた。 好き、と。

もう、聞こえてない振りなんてできない。

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