美味しい時間
「だたの転勤じゃなくてよ。支社長として出向き、こちらに戻ってきた時は
幹部になるって筋書きまでできているの。言ってる意味、分かるかしら」
他のお姉様たちと、顔を見合わせて冷ら笑っている。
そんな大事なことを、何で課長は私に話してくれなかったんだろう……。
不信感が募る。
やっぱり私のこと、本気じゃなかったのかなぁ……。
不安になる。
そんな私の心の中なんて知ったことかと、冴子がとどめの一撃を加えてきた。
「私、東堂課長とのお見合いの話が持ち上がってて。自分で言うのもなんだ
けれど、課長には美貌と才能をもった女性がそばにいるべきじゃないかしら」
これには私も太刀打ちできそうにない。撃沈だ……。
思考回路が止まってしまい、涙一粒さえ出てこない。
早くひとりになりたかった。
ただじっと冴子の顔を見て、辛うじて動く口を開く。
「分かりました。話はそれだけでしょうか?」
「ええ。分かってくれれば結構よ。でも、あなたの出方次第では、課長の首も
危うくなるって言うことをよく覚えておいて」
冷たくそう言うと、お姉様たちを引き連れてぞろぞろとカフェを出ていった。