美味しい時間
知らない間に、身体いっぱいに力を入れていた。
彼女たちの姿が見えなくなると、フッとその力が自然に抜ける。それと
同時に、瞳からぽろぽろと涙が零れてきた。
「もう、泣きたくなんかないのに……」
ハンカチを取り出し拭う。
もう頭の中がぐちゃぐちゃだ。自分の気持をコントロールできない。
悔しくて、悲しくて、苦しくて……。息さえ上手くつけない。
肩を大きく上下させていると、店員さんに声をかけられた。
「あの……大丈夫ですか?」
こんなところで申し訳ない気持ちになり、少しだけ気持ちを落ち着かせ、
顔を見ずにこたえた。
「す、すみません……。大丈夫です。ありがとうございます」
「気持ちが落ち着くまで、ゆっくりしていって下さい」
店員さんはコップのお水を新しいものに取り替えると、そっと離れていった。
それを確認すると、携帯に手を伸ばす。この状態では、すぐに会社に戻る
のは無理。この事情を知っている美和先輩に電話をかけた。