美味しい時間


いつもなら残業しないとやり終えない量の仕事を、必死に終わらせる。
寺澤との約束もあるけれど、残業をすれば嫌でも課長と顔を合わせることに
なってしまう。それはどうしても避けたかった。

定時になると、課長に頼まれた仕事を主任に預ける。
手早くデスクを片付けていると、美和先輩と目があった。

「今日はもう帰るの? 慌ててるみたいだけど」

「はい。営業の寺澤くんと約束があって」

「そっか……。たまには同期くんと飲むのもいいかもね。お疲れ」

片付けも終わりカバンを持つと、軽く手を上げ「お疲れ様です」と声をかけ、
フロアを後にした。




< 137 / 314 >

この作品をシェア

pagetop