美味しい時間

部長は何を気にする様子もなく、話を続けた。

「若いもんはいいよなぁ。って東堂ももうすぐ見合いだったか」

課長が目を見開く。そして小さくチッと舌打ちすると、私から目をそらす。
そしてその行為は、私の心をひどく傷つけた。

やっぱり冴子の言ったことは本当だったんだ。今の課長の様子からすると、
その事を知られたくなかった? そうだよね、ずっと内緒にされていたん
だから……。

私、遊ばれてただけだったんだ……。

そう思うと、涙が出そうになる。でも、ここで泣くわけにはいかない。
グッと唇を噛みしめて、それを堪えた。

早くこの場から立ち去りたい。

「じゃあ、お先に失礼します。寺澤くん、行こう」

誰の顔も見ずにそう言うと、逃げるようにその場から離れた。
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