美味しい時間

「あぁ~。そんな深刻に考えなくても」

深刻に考えるなって言われても、困ってしまう。
好きだと告白されて平然としていられるほど、恋愛経験がないんだから。
顔を上げて寺澤の顔を見れば、彼も困った顔をしていた。

「ほんと、男の人ってみんな勝手で困る」

なんで彼が困った顔をしてるんだろう。情けないほど困った顔を見ていたら、
何だか気分が吹っ切れた。
とにかく一度家に帰って、いろいろ整理しよう。今は頭の中がごちゃごちゃに
なってしまっている。

「やっぱり今日は帰る。ひとりでもう一度考えてみるよ」

寺澤は何も言わず、ただ静かに頷いた。
家まで送ると言ってくれたけれど、それを丁重にお断りして公園で別れた。

< 146 / 314 >

この作品をシェア

pagetop