美味しい時間
笑いを堪えられず、ぶぶぅっと吹いたように笑ってしまう。そんな私を見て、
寺澤は拗ねたように怒った顔をした。
「気が変わった。もう奢ってやんない」
「ご、ごめん。私が悪かったです。そんなに怒らないでよ……」
そう言って頭を下げると、また頭を撫でられた。
「嘘だよ。怒ってないし、ちゃんと奢ってやる」
な、何だ。さっきの態度は騙してたんだ。
「べ、別に奢ってもらいたくて謝ったわけじゃないんだけど……」
「それも分かってるって」
つい憎まれ口を叩いてしまう私を気にする様子もなく、笑いかけてくれる。
そんな彼に、私も力なく微笑んだ。
「で、また何かあったの? 元気ないみたいだけど」
午前中に何があったか知らない寺澤にまで、分かってしまうような顔をして
るんだ……私。
また溜息をつくと、寺澤の質問に答えた。
「あったも何も、あり過ぎってくらいありました」
ガクッと肩を落とし頬杖ついて俯くと、今度は寺澤が笑い出した。