美味しい時間
「そっかぁ。でもそれって、俺的には都合が良い話?」
「あ……」
そうだ……。私、寺澤くんに告白されたんだった。
でもそれを、今持ちだしてくるのはどうかと思うんだけど……。
ちょっとだけ怒った顔をして、睨むように彼の顔を見上げた。
「悪い。藤野を困らせてどうすんだろうな、俺」
「ほんとだよ。今日はうんと高いもの奢ってもらわなくちゃ」
そう言うと、「えぇ~っ」と目を大きく見開いて驚く顔をした。
寺澤を使っているみたいで申し訳ないけれど、彼と話しているその時だけは
課長のことを忘れられる。
本来の自分に戻れる気がした。
「今日はちょっと残業しなくちゃいけないかもだけど、いい?」
「了解。俺も定時は無理だから、終わったらメールするよ」
約束をかわすと、寺澤はフロアから出ていった。