美味しい時間
携帯で時間を確認すると、21時を回っていた。
「寺澤くん、そろそろ……」
「おぅ。でも藤野、ほとんど食べてないよな。大丈夫?」
「大丈夫……かな」
昼も食べていないのに、やっぱり食べたい気持ちが沸き上がってこなかった。
「底なしに食べる藤野もびっくりだけど、食べない藤野はもっとビックリ……
って言うか、不気味だよな」
「不気味って……」
キッと睨み返し、頭を一発小突いた。
「いってぇ~。そう言われたくなかったら、早くいつもの藤野に戻れよ」
伝票で私の頭を優しく叩くと、そのままレジに向かった。
その後ろ姿に、「ありがとう」と呟くと、私も荷物をまとめ彼を追った。