美味しい時間

キョロキョロと店中を見渡していると、お水を運んできたさっきの女性に声を
かけられた。

「お店、気に入って下さったのかしら?」

「えっ?」

いきなりそう聞かれて、驚いてしまった。

「先程から目をキラキラさせて、店の中やお庭を見ていたから」

柔らかいものいいと笑顔に、私も顔を綻ばせた。

「はいっ、とても。お料理も楽しみです」

そう答えると、優しく微笑んだ。そして顔を寺澤に向ける。

「寺澤さん、でしたよね?」

驚き目をぱちぱちさせて頷く寺澤に、おしぼりを渡した。

「また来ていただいて嬉しいです。それも、こんな可愛らしい女性を連れてきて
 くださるなんて」

茶目っ気いっぱいの笑顔で、寺澤と私の顔を交互に見た。
その言葉に、二人して顔を赤くしてしまった。



< 199 / 314 >

この作品をシェア

pagetop