美味しい時間
会社までの道のりを、どう言い訳しようか考えながら歩いていると、会社から
出てくる美和先輩の姿が見えた。
「美和先輩ーっ」
大きな声を出して先輩を呼び止めると、その声に気づいた先輩がこちらを振り
返った。その顔は、少し怒っているようだ。
慌てて先輩のところまで駆け寄っていく。
「百花……。あんた、どこ行ってたのよっ!!」
そう言って、私の頬を抓った。
「せ、先輩、いたぁいですぅ」
「課長の機嫌が悪くって。とばっちり受けるこっちの身にもなってみなよ」
「ご、ごめんなひゃい」
何で私が頬を抓られながら謝らなくちゃいけないんだろう……。
少々腑に落ちなかったけれど、ここは素直に謝っておくことにした。
美和先輩が抓っていた手を外し、私たちのフロアがある2階を見上げる。
「まぁ機嫌が悪いのは、百花のせいだけじゃないんだけどね」
苦笑しながらこちらを振り返ると、ポカンとしている私の手を取り歩き出す。
私は訳がわからず、そのまま引っ張られてフロアに戻ることになった。