美味しい時間
「あっ……。美和先輩……」
「何? 課長が来たとでも思った?」
そう言ってニヤっと笑うと、私の前の椅子に腰掛けた。
「はいっ」と、顔に当てた缶コーヒーを手渡すと、肩肘ついて私の顔を覗き
込む。
「百花と課長って、似たもの同士だね」
「……?」
私と課長のどこが似てると言うんだろう。
美和先輩の言わんとする事がよくわからない。首を傾げて考えている私を見て、
さっきよりも増してニヤニヤ笑っている。
「戻りにくいとは思うけど、ずっとここにいるわけにも行かないでしょ?」
先輩の声は顔とは裏腹に、あまりにま優しい声で驚いた。
しかしその声を聞いて、心の中にあったモヤモヤがスーっと消えていく。
はぁ~っと小さく息を吐くと、姿勢を正して美和先輩の顔を見た。
「うん、もう大丈夫そうだね。行くよ」
その声に「はいっ」としっかり返事をして、フロアに戻った。