美味しい時間
ホテルでの出来事を忘れるかのように買い物をし、お金を使いすぎたことに少々
の後悔はあったものの、気分はスッキリしてきていた。
そんな私に、何も言わず付き合ってくれた先輩を、お礼の気持も込めて夕飯に
誘った。
「美和先輩。今晩うちでご飯食べていきませんか? 久しぶりに料理の腕を
ふるいたい気分になってきましたっ」
「そりゃあ、百花の料理は美味しいから有難いけど……。いいの? 私がその
ご馳走食べちゃって」
少し申し訳なさそうにしている先輩の背中を、ポンと叩く。
「何言っちゃってるんですか。先輩の他に、誰がいるっていうんですか?」
「痛っ……」
「先輩に食べてほしいんです」
そう言って先輩の腕にしがみつくと、引っ張って歩き出した。
私の行動に諦めたのか先輩も素直に歩き出す。
「そこまで言うなら食べてあげる。お酒に合う料理作ってね」
「えぇ~、飲むんですか?」
「当たり前っ!」
いつも通りの会話に戻ると、急ぎ足で駅に向かった。