美味しい時間
恐怖で身体をちぢめて小さくなっていると、課長が私を庇うように前に立った。
「こいつは関係ないだろう」
「そうやって庇うってことは、関係あるんじゃないのっ! バカにするのも大概
にしてほしいわよね」
そんなやり取りが私の頭上でしばらく繰り広げられていた。覚えはないけれど、
何か私が倉橋さんの気に触るようなことをしたのかもしれない。このままじゃ
埒があかないと思い、謝りの言葉を言うため顔を上げると、フロアのドアが開
き誰かが入ってきた。
「冴子、いい加減にしないか」
「お、叔父様」
叔父様? と言うことは……。
(専務だぁー)
慌てて立ち上がり、身なりを整えた。目の前に立っている課長が専務に頭を
下げる。私も続けて頭を下げた。