美味しい時間

どうして専務が現れるんだろう。確か、土曜日のお見合いには、専務も同席して
いたはず。今日の倉橋さんの様子といい、そこで何かあったのかしら。
まだジンジンしている頬を気にしながら、専務と課長の話に聞き入った。

「東堂くん、悪かったね。やっぱり今日は冴子を出社させるべきではなかった」

「いえ、専務に謝ってもらうことはなにも……」

「君にはいろいろと無理を言った。わがままな姪に付きあわせてしまい、本当に
 申し訳なかった」

専務が課長に頭を下げてる? 課長が「もう終わったことですから」と、専務に
頭を上げるように言っている。
なんなのよ、この状態。まったく訳が分からない。
もう最近、頭の中が?だらけになることが多すぎるっ。
課長の後ろで、ひとり、頭の中を整理していると、いきなり倉橋さんに名指しされ
てしまった。

「叔父様っ。 この女のせいで私と東堂課長の結婚は駄目になったのよっ!
 クビにして、クビにっ!!」

はぁっ!? 
結婚が駄目になって、私がクビ?
これまた、どうしてそんな話になるのか……。どうせ退職するんだから辞める
のは構わないけど、クビっていうのはねぇ。
今度は課長の後ろで、ひとり、あたふたしていると、課長がゆっくりと振り向い
た。
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