美味しい時間

「一緒に入る」、と子供みたいなわがままを言う課長を何とか押し留めて、シャ
ワーをさっと浴びる。

……百花は、食後のデザートで食べる……

その言葉が頭から離れてくれない。
で、でもさ、今日は昼間に、あんなコトやこんなこともしたじゃない?
さすがに夜も……何てことはないよね?
でも、全く何にも無しっていうのも、さ、寂しいかなぁ……。
って、私っ! 何エッチなこと考えてるのよっ!!
頭からシャワーを浴びて、邪念も一緒に洗い流した。

課長の大きなシャツを着てリビングに戻ると、ソファーから小さな寝息が聞こ
えてきた。近くに寄って顔のあたりにしゃがみ込む。目のあたりに掛かっている
前髪を払いあげた。

「子供みたい」

クスっと笑みがこぼれてしまった。

「誰が子供だって?」

そう聞こえたかと思うと、あっという間に抱え上げられ、課長を跨ぐ格好で
座らされた。

「起きてたの?」

「起こされたの」

「ごめん。でも、シャワー浴びないの?」

「浴びたほうがいい?」

な、なんなのよっ。その何かを含んだようなモノの言い方は……。
また、あの言葉を思い出して、顔がカァっと赤くなる。

「何、赤くなってんの?」

「な、なってませんっ」

「エッチ!」

課長の頭をグーで叩くと、慌てて飛び降りた。

「イッテー!!」

「自業自得です」

赤い顔を隠すようにリビングから出ていこうとすると、後ろからいつもの笑い
声が聞こえる。

「ほんと百花は分かりやすい。先に寝室で待ってろ」

更に顔を赤くして、返事もせずにリビングを飛び出した。

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