美味しい時間

い、今から帰るって……。

新婚さんみたいじゃないかぁ~///

また飛び跳ねたい気分だ。携帯を握りしめ課長のその言葉に浸っていると、どこからか呼びかける声がした。

『おいっ百花! 聞いてるかー?』

いけない。課長と電話中だった。

「あ……はいはい。聞いてます聞いてます」

『俺を放っとくなんて、ほんといい度胸してんな』

「いえいえ、滅相も無い」

『すぐ帰るから、お仕置きな』

いつもならここで「ごめんなさい」と言う所だけど、今日はそうはいかないんだから。

「お仕置きなんて言われると、恐ろしくって晩ご飯作れないです……」

そう、ちょっと悲しい声を出して訴えると、携帯の奥からウゥっと詰まったような声が聞こえた。

やったね! 今日は私の勝ち。

課長には見えないけれど、指でピースサインを作ってひとり喜んでいたら、携帯から私の理解を超えた言葉が返ってきた。

『じゃあ百花、お前を食べることにするわ』
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