美味しい時間

「今日は金目鯛の煮付けにしましたけど、大丈夫ですか?」

「俺、金目大好物。でも金目って高いんじゃないの?」

「ちょっと奮発しちゃいました」

ピースサインを課長に見せる。

「弁当も作ってもらってるし、ちゃんと払うから言えよ」

じゃあ、◯◯◯◯円下さい……とは言い難い。課長からお金をもらうのは何となく気が引けると言うか……。
一人分増えたって、今までとさほど差が出るわけでもないし。
あっそうだっ!

「お金はいいです。でも時々、美味しい物を食べに連れてって下さいっ」

課長は接待なんかで、美味しいお店をいっぱい知ってそうだし。私がひとりでは入れないような所に行けるかもしれないもんね。

「そんなんでいいのか? いつでも連れてってやるけどさ」

「やったぁ。この前の焼肉のお店も素敵だっだし……」

課長との食事は楽しいから……。そこはあえて声に出さず、心の中で呟いた。
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