美味しい時間
それにしても、今日の課長は荷物が多いんだよね。いつもならカバン一つと身軽なのに、大きなボストンバッグを持ってきていた。
「あのぉ、慶太郎さん。その荷物、どうしたんですか?」
どうしても気になって、聞いちゃった。
でも、聞かないほうが良かったかも……。課長の目がギラッと光ったように見えたのは私だけ?
「これは……」
「これは?」
「俺の着替え! 色々と一式持ってきたんだよ」
「なんだ、着替えですかぁ……って着替え!?」
何で私の家に着替えなんて持ってくるの? ご飯食べたら帰るんだから、着替えはいらないよね?
頭の中がパニックで目をパチパチさせていると、可笑しそうに笑いながら近づいてきた。そして、キッチンに立っている私を後ろから抱きしめ、首筋に顔をくっつけた。
「け、慶太郎さん? これじゃ料理できないんですけど……」
顔、近いよぉ~。息が耳にあたってくすぐったいし……。
心臓バクバク。こんな状況、心臓によくな~いっ!!!
「遅くなった日とか、ビール飲みたい気分の日は泊まってく」