神様がくれた夏
呼んだのは先輩のくせに。
なんて最初はそう思っていながらも先輩に会えたことの方が嬉しくて、そんな気持ちは一瞬にして吹き飛んだ。
あたしはなんて単純なんだろう。
笑いたい人は笑えばいい。
どうしようもない。
そのくらい彼が好きなんだ。
彼はアクビを噛み殺しながらダルそうに呟く。
「…入れば?」
「あ、うん」
おじゃまします。
彼しかいないのを知っていながら、あたしはそう小さく呟く。
静まり返った部屋にあたしの声が響いては、次にパタリと扉の閉まる音が響いた。