また一緒に、1本取ろう。
「優勝者の川瀬選手と道木選手、インタビューよろしいですか?」
表彰式が終わると、あっという間に
新聞記者たちに囲まれた。
「それでは、道木選手。今、感謝の気持ちを誰に伝えたいですか?」
「…まず、自分の恩師でもあるじいちゃんと」
マイクを差し出され、少し緊張ぎみの凌。
先生が生きていたら、どれだけ喜ぶかな。
「ぶつかりながらも、ここまで育ててくれた家族。顧問の先生、仲間。そして…今、隣にいる唯に」
凌に向けられていたカメラが、
一気に私に向いた。
「唯がいなかったら、俺はずっと立ち直れなかったと思う。唯の存在が、俺を救ってくれた。ケンカもするし、泣いてばっかりな唯だけど、俺はっ…そんな唯が好きなんだ」
私の目を見て、凌は笑って言った。
「唯は、自分にとって最高のライバルですっ…唯、剣道に戻ってきてくれてありがとう」
「凌っ…」