恋率方程式
それでもアルトを守りたい。
「……」
沈黙と共に屋敷へと足を進めた。
−−−−−
コツ…コツ…
絨毯が敷き詰められた長い廊下を進む。相手がどこにいるかはわからないが、雰囲気と人の気配がしないことからこの先にいることがわかる。
ふと思った。
『それでもアルトを守りたい。』
………
自分は何を言っている?
あわわわわ
動揺のあまり足を止めてしまいそうだった。
しかしそこはいつものように冷静を装った。
いや、確かに依頼主を潰さなければアルトに危険を伴わせる。
しかし、アルトは強い。
きっと自己防衛のためかなんかで幼い頃から武術やら何やらを習ったのであろう。よく金持ちの奴らが子供に対してすることだ。
いや、でもやっぱ危な過ぎる…
愛しい、という感情が今だに認識されない。
一般人なら子供の時から親の愛情を受けるであろう。そしてそれが愛だとわかる。だからこそ、イチにはわからなかった。
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