。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅲ・*・。。*・。



響輔は―――……


今までの男と違う。あたしの体を求めない男―――


こんな男はじめて会った。(玄蛇もそうだけど、あいつは根本的に違うから)


何かを求められなくても、一緒にいてくれる。




「自分を大切にしい。



自分自身を愛してあげな」




響輔は口元に淡い笑みを浮かべて、あたしの髪を優しく撫で梳く。


響輔の仕草はぎこちなかったけれど、どこまでも優しくて、包み込むようにあったかくて、


不覚にもあたしはまたも涙を零していた。


響輔があたしの頭を引き寄せると、優しく抱きしめてくれた。


あたしは響輔の首に手を回し、彼のうなじを何度も撫でた。黒いサラサラの髪が心地よくて、その髪をぐしゃぐしゃにまさぐりたくて、


でもあたしはその髪の中に手を入れるだけで、それだけでドキドキした。


同じように響輔もあたしの髪を優しく撫でてくれた。





――――

――


結局、あたしはそのあともしばらく響輔の胸で泣き続け、響輔は黙ってあたしの頭を撫でてくれていた。


泣き止んだところで体をそっと離すと、真剣な顔で


「あかん!今何時や?」


と響輔がムードをぶち壊す一言。


「夜中の1時。どうしたの?」と聞くと、


「―――終電、逃した」


響輔はガクリと項垂れた。






< 422 / 776 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop