アゲハ~約束~
「一人で、行きたいの。」

「・・・そう、か・・・?」

「うん。・・・バイバイ。」



 そういうと、彼女は背を向け、海岸に向かって歩き出した。



「・・・」



 黙りこくって彼女の背中を見つめる幸人の腕を、夏梅が引いて帰ろうと促す。



「ほら、ルーとアゲハ、二人で海によくいってたじゃない。懐かしみたいんだよ。」

「・・・うん・・・」



 そんな、もんか。

 幸人は、ざわつく胸をおさえながら、家への道を歩いた。



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