アゲハ~約束~
 だってあなたは、本当はすごいカメラマンで。

 撮りたいものも、たくさんあるのでしょう?

 世界中を見て回るのが、すきだって、初めてあった時に言っていた。覚えてる。



 そんな人が、何処かに根を張ることがあるわけないって、最初から、わかってたんだから。





「それでも・・・オレは戻ってくるから。必ず、アゲハのところに。」



 そういって、すっと伸ばした手を、彼女に触れる、寸前で止めて。


 ぎゅっと、拳を握り締めて。



「・・・絶対。」



 今までの言葉の、何千倍もの思いをこめて、その一言をアゲハに告げる。





 その言葉は、アゲハの耳にこびりついて、離れなかった。






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