《完》BLOODMOON~あやかしの花嫁~
「何だか妙に静かだな…」


「だって、初めて入ったんだもん」


「普通のホテルとさほど、変わらない。それに『妖退治』を控えた俺は気を集中させるため、全ての煩悩を断つ」



「へ、あ…そうなんだ・・・」


「血だって吸わない…。それにこの『妖退治』は特別…冷泉帝様の命(ミコト)で賜ったモノだ…」


「そんな退治に私を連れてきてよかったの?」



「許可は得たと言ったはずだ」


抑揚のない知弥の声に、感情が篭る。


「私も頑張ります!」


「そうだな…」


知弥は私に手を伸ばした。


「何?」


ポンと私の頭に手を乗せて、優しく撫でた。



「頑張れよ」


「うん」

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