先生とシンデレラ
カタカタ

キーボードを打つ音だけが、誰もいなくなった教室に響く。

「…」

羅々が行ってからどのくらい時間が経ったんだろう。

パソコン上の電子時計に視線を移すと。

20分か。

…そろそろ電車に乗った頃かな。

そんな事を考えて。

キーボードを打つ手を止めて、頬に添える。

…ちゃんと電車に乗れただろうか。

この時間だ、変な奴に絡まれたりしたら。

目を引く顔をしてるし。

羅々の事だから、すぐに着いて行ってしまうかもしれない。

…いや、流石にそれはないか。

子供じゃあるまいし。

高校生って大人、か?

いやここで子供だと認めたら、俺の性壁が。

そこまで考えて、ため息をつく。

…考えていてもきりがない。

羅々はちゃんと大通りを選んで帰るだろう。

こんな事なら、車で送ってやれば良かった。

何でもっと早く気づかなかったんだろう。
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