先生とシンデレラ
「…先「送ってくから、待ってなさい」

「…え」

「良いから、待っていなさい。もう、女の子が一人で帰るのは危ない時間だから。」

先生はそれだけ言うとパッと手を離して、机に置いてあったブラックの缶コーヒーを開けてひとくち口に含んだ。

「…もう少しで終わるから。」

「…」

…もしかして。

キーボードを打ち始めた、先生を見ながら。

「さっき、“早く帰らなきゃならなくなった”って言ったのって、私を送るために…」

先生はまた顔を上げて私と目を合わせてから
「…そうだよ。それ以外、あるわけないでしょ。」

その言葉に、緩みそうになる頬を隠しながら
「…ありがとうございます」
と言うと。

先生も笑って、
「…こちらこそ。」
と言った。
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