先生とシンデレラ
ブツブツと一人で台本を読んでいると。

「…あんた、本当に真面目ね。」

「…っ」

急に近くで声がして。

ばっと振り返ると。

「瑠璃ちゃん…」

「…」

瑠璃ちゃんは無言で私の隣の席、三浦君の席に腰を下ろす。

「あんたがどんな様子か見にきてあげたわ。」

「…え。」

「また無駄に緊張してるんじゃないかと思ってね。あんたはいつも余計な事考えすぎなの!あーしたらどうしよう、こーしたらどつしよう、って予防線張りすぎなのよ!そんなに予防線張ってたら、線と線が絡まって身動き出来なくなるわよ!だから…「ありがとう、瑠璃ちゃん。」

まだ話し続けようとした華ちゃんの言葉を遮って。

私がそう言うと、瑠璃ちゃんは眉をひそめて。

「…」

「私の事、心配して来てくれたんだよね。だから、ありがとう。」

私がそう言って笑うと。

「…っち、違うわよ!」

「うん、瑠璃ちゃんは恥ずかしがり屋だもんね。」

「〜…っ、あんたには何言っても通じないわね!」

私がそれでもニコニコと笑い続けていると。

瑠璃ちゃんは観念したように
「…私は、あんたに負けたようなもんだからあんたが負けたら私はただのモブキャラ、みたいになるのが嫌だったのよ。」

「…うん。頑張るね。」

私がそう言うと。

瑠璃ちゃんは可愛いく笑って。

「しょうがないから、見ててあげるわ。」

その言葉に。

笑って頷いた。
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