蒼穹の誘惑
(2)
出社前、みずきはカフェマシェリに立ち寄り、普段愛飲している深煎りのキリマンエスプレッソではなく、カフェインの強いコーヒーを二つオーダーした。
眠い身体を覚まさせる為ではない、自分自身の気持ちを引き締める為、酸味と苦味の残るコーヒーを一気に流し込んだ。
みずきが二杯目のコーヒーを飲み終えた頃、彼女を乗せたクラウンの社長車は会社ビルのエントランス前に横付けされた。
みずきはシートに身を預けたまま目を閉じる。
運転手が躊躇いながらドアの傍で待っているが、みずきは中々目を開けない。
急にパチッと目を開けたかと思うと、運転手が気づく前に自らドアを開け、エントランスの前に立った。
ここ(会社)はみずきのプレイグランド----
そして、高宮はそのゲームの単なるコマにすぎない。
エントランスの曇りひとつなく磨かれた自動ドアのガラスには、感情を押し殺した『社長』の仮面を被た自分の姿が映る。
(そう、これが本当の私----)
颯爽とホールを横切るみずきは、強く美しい。道を開け、エレベーターのボタンを押す社員を一瞥すると、悠然と微笑み、その場の人間全てを惹きつけた。
それは、普段と変わらない『社長』の長谷川みずきの姿だった。
出社前、みずきはカフェマシェリに立ち寄り、普段愛飲している深煎りのキリマンエスプレッソではなく、カフェインの強いコーヒーを二つオーダーした。
眠い身体を覚まさせる為ではない、自分自身の気持ちを引き締める為、酸味と苦味の残るコーヒーを一気に流し込んだ。
みずきが二杯目のコーヒーを飲み終えた頃、彼女を乗せたクラウンの社長車は会社ビルのエントランス前に横付けされた。
みずきはシートに身を預けたまま目を閉じる。
運転手が躊躇いながらドアの傍で待っているが、みずきは中々目を開けない。
急にパチッと目を開けたかと思うと、運転手が気づく前に自らドアを開け、エントランスの前に立った。
ここ(会社)はみずきのプレイグランド----
そして、高宮はそのゲームの単なるコマにすぎない。
エントランスの曇りひとつなく磨かれた自動ドアのガラスには、感情を押し殺した『社長』の仮面を被た自分の姿が映る。
(そう、これが本当の私----)
颯爽とホールを横切るみずきは、強く美しい。道を開け、エレベーターのボタンを押す社員を一瞥すると、悠然と微笑み、その場の人間全てを惹きつけた。
それは、普段と変わらない『社長』の長谷川みずきの姿だった。