蒼穹の誘惑
重役室前の受付秘書たちに軽く挨拶を済ませ、社長室に入ろうとすると珍しくその一人に呼び止められた。

みずきの秘書業務は全て高宮が取り仕切っている。受付秘書とは挨拶程度しか交わしたことがない。

確か名前は、園田と言っただろうか……

「社長。 昨日一日でメッセージとメールが非常にたくさん入っています」

「あぁ……高宮君にチェックさせて?」

それは高宮の仕事だ。まだ出社していないのだろうか。

「高宮さんは----只今福社長とミーティング中です」

可愛い受付秘書の視線が泳ぐ。

「副社長と……どうしたの、急に?副社長室?」

みずきの表情が曇り、受付秘書を咎めるように尋ねた。

「いえ、あの、副社長が内線で高宮さんをお呼びになったとしか、私は存じあげておりませんが……」

みずきと副社長の関係を知っている受付秘書はしどろもどろに答える。彼女を責めても性がないことはみずきも分かっているが、少しの詳細くらい把握しておいて欲しい。


< 125 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop