蒼穹の誘惑
「私は----浅野社長と寝てこればいいのね?」

みずきは抑揚のない声で返す。だが、その瞳には迷いが見える。

自分は何を期待してこんな質問を投げているのだろうか。

「浅野と寝ようが寝まいが、それはあなたの自由です」

冷酷な言葉が静かに響く。

何故だろう、胸がキリキリ痛むのは----

その言葉の先を聞きたくない自分がいる。それなのに、否定して欲しくてみずきは虚しい質問を繰り返す。

「色仕掛けを使え、そう聞こえたけど?」

「どうしました?いつものあなたらしくないですよ」

「どういう、意味?」

「今まで平気でそうしてきたでしょう?普段のあなたなら喜んで会社の為に脚を開く----」

その言葉を最後まで聞き終わらないうちに、みずきは思いっきり高宮の頬をひっぱ叩いた。

「----失礼しました。言葉がすぎました」

高宮は相変わらず感情のめない冷笑を浮かべ、みずきから離れた。

今ズキズキ痛むのは、手の平であって心じゃない。みずきはそう自分に言い聞かせ、高宮から視線を外した。


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